耳鼻科

耳鼻咽喉科のご案内

【お知らせ】慢性化した中耳炎、外耳炎、鼓膜炎でおこまりの患者さまへ

なかなか耳漏が止まらなくてお困りの方はいませんか。

当院では、耳漏の細菌の同定・薬剤の感受性の検査をして、それに適した点耳薬や内服薬を投与していきますが、どうにもこうにも手ごわい細菌や真菌がいます。薬剤に抵抗性があったり、複合感染であったりして、すべての細菌に効く薬がないために菌数の多いものを最初狙いうちにして、あとは局所の洗浄、清拭・消毒により乾燥化をはかるという治療法で、患者さんにも気長に対処していただく場合があります。また、細菌と真菌の混合感染の場合はほとほと困ります。おそらく最初は細菌感染がおこり、その後、病態がやや慢性化した状態になり、かゆみや耳の違和感のために、いじっていた結果、局所が真菌類に適した環境にもなってしまったということです。暗くて、温かくて、湿気があって、そこにいるカビたちはどっと増えてしまいます。耳の真菌としてはほぼカンジダとアスペルギルスです。表在性の感染です。

こういった治りづらい場合の対応として、抗生剤が発達する前には頻用されていたであろうブロー氏液というものがあります。このブロー氏液とは19世紀にKarl August von Burowが考案した殺菌作用と収斂作用を有する13%酢酸アルミニウムです。20世紀になって再び点耳薬として注目を浴びるようになりましたが、私が耳鼻咽喉科の医局に入局したころには、もはやその名も挙がらない日陰の薬になっていました。ところが、またまた最近注目を浴びてきました。それはどんなにがんばっても治らない中耳炎や外耳炎がブロー氏液を外来で3~4回耳浴すると、乾いてくるのです。

ブロー氏液の内容は上記で述べたように酢酸アルミニウムです。その溶液は市販されているものではなく、病院の薬剤部や薬局などで作ってもらうのですが、作るのに3~4日もかかって作る過程で酢酸の強烈なにおいもするので、あまり作っていただけませんでした。しかし、最近、迅速ブロー氏液というもともとのブロー氏液より作成が簡単でしかも効果も劣らないという薬剤が広島大学などから報告があり、当院の門前薬局の薬剤師さんが頑張ってくださり作成していただきました。

現在厚生省で認められている薬液ではないため、患者さんに手持ちでは処方しません。中耳炎で鼓膜穿孔がある場合はまれに内耳に毒性もあるという報告を以前に読んだことがありますので、施行する前には聴力検査を施行し聴力の低下に注意をはらってご説明と同意を得てから施行しています。また、薬液を外耳道一杯にいれますので、めまいなどの症状などにも注意を払って施行します。おおよそ1週間に1~2回程度受診していただき、15分程度耳浴していただきます。様々な文献では4回程度で乾燥してくるとのことです。ですので、長年治らないと飽きられておられる方は、是非当院でブロー氏液を試していただきたく存じます。お待ちしております。

耳鼻咽喉科:診療内容

耳・鼻・喉の諸症状、花粉症・アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎など、睡眠時無呼吸症候群・いびき・補聴器相談など

診察時間
8:45〜12:30 休診 休診

※午前中のみの診療となります
休診日:木曜・日曜・祝日

耳鼻咽喉科医師 ごあいさつ

これまで培った知識や経筋を元に、今後は耳鼻科領域の初期診療を地域の皆様に提供できるればと思っております。聴力検査や喉頭ファイバーに加え、エコーやCT検査を活用し、疾患の精査を行います。鼻・耳・喉の症状でお困りの際はぜひご相談ください。わかりやすい病状説明を心がけ、皆様に信頼していただけるよう頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

耳鼻咽喉科医 鎌田 知子

鎌田知子プロフィール 耳鼻科

東京都出身。長野県の信州大学医学部医学科卒。初期研修は東京医科歯科大学で行いました。その後、茨城県の日立総合病院、土浦協同病院、JAとりで総合医療センターなどで勤務しておりましたが、縁があって6年ほど前に鹿児島へ移住、今給黎総合病院(現いまきいれ総合病院)耳鼻咽喉科で本年3月まで勤務しておりました。

資格

  • 日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医
  • 補聴器相談医
  • 難病指定医(耳鼻咽喉科)

診療について

耳の症状

耳の痛み、耳だれ(耳漏)、耳の詰まった感じ(耳閉感)、耳鳴り、聞こえが悪い、音が響く、言葉が聞き取りにくい、耳の周りが腫れた、耳の中に虫が入った、耳垢がつまった、めまい

鼻の症状

くしゃみ、鼻水、鼻づまり、嗅覚障害、鼻血、鼻腔異物、後鼻漏(鼻水がのどに落ちる)
顔や頬の痛み・腫れなど

喉の症状

のどの痛み、飲み込みにくい、飲み込むとむせる、口が開かない、口の中が腫れた、のどに何かある気がする、声がかすれる、声が出しにくい、口内炎ができた

そのほか

顔から首にかけて、腫れもの・出ものができた、目がつぶれない、口の中のものがこぼれる、顔が曲った(顔面神経麻痺)、いびきをかく、寝ている時に呼吸が止まる、といった症状があるときは、是非一度受診してみてください。

当院で可能な検査

純音聴力検査(音が聞こえているかの検査)、語音聴力検査(言葉が聞き取れるかの検査)、鼻腔および喉頭ファイバー検査、頸部エコー、CT(高速16列マルチスイスCT)、レントゲン、めまいの検査、嚥下内視鏡検査、血液検査、アレルギーの抗原検査、細菌培養検査、

補聴器について

難聴にはさまざまな原因がありますが、耳垢や滲出性中耳炎といった、 外耳道や中耳に問題がある場合は耳鼻科的な処置や手術で改善しますが、神経性の難聴 で改善できる難聴はごく一部です。また、加齢に伴う難聴の患者さんは、音は聞こえているが言葉の聞き取りが悪いという特徴があります。現在の医療では加齢性難聴を根本から治療する技術は開発されておりません。
そのため、現状では「聞こえ」を補うことで、耳鳴の改善、難聴を改善して生活の質QOLを向上させることが重要と考えます。

難聴を放置しておくと言葉が聞きとれないため、映画やテレビもみなくなってしまったり、人とのコミュニケーションが難しいため、どうせ聞こえないしと人と会わなくなってしまったりと、難聴が認知症の入り口となっていることが指摘されています。

補聴器は使用した瞬間から言葉の聞き取りが改善するわけではなく、静かな環境に慣れてしまった脳が、通常の雑音のある世界に慣れないと、補聴器を使用しても今まで聞こえなかった言葉を聞き取ることはできません。そのため、補聴器を使用後はリハビリテーションが必要となります。補聴器リハビリテーションをせずに性能のよい高額な補聴器を購入しても、雑音がうるさいと感じてしまい、最終的に補聴器をほとんど使用しなくなってしまう患者さんがたくさんおられます。
補聴器の使用をご希望の患者さんについては、当院では提携先の補聴器専門店と相談の上、3か月程度補聴器リハビリテーションを行います。リハビリテーション中、必要であれば、いまきいれ総合病院の補聴器外来で補聴器適合検査を行いながら調整をしていきます。最終的に補聴器が適合しており、補聴器装用にて難聴が改善し、ご本人がご納得いただければ、その時点で購入を検討下さい。(その時点で効果が感じられない場合は返却していただいて構いません)
補聴器は、装用開始後、朝から寝るまで一日中装用していただきます。1週間ほどが特にうるさく感じたり、めまいがしたり、不快な症状が出現すると言われております。それに慣れていただくと徐々に、雑音の中から聞きたい言葉を聞き取ることが可能となってきます。根気強く、ご家族も励ましながらがんばってリハビリをしていただくと、3か月程度でご自身の残存聴力を最大限に引き出すことが可能となります。

アレルギー性鼻炎

まずは、症状を伺い、必要であればアレルギーの抗原検査を行い、保存的に治療していきます。一般的な投薬治療で改善が乏しい場合は、手術や舌下免疫療法なども相談していきましょう。

舌下免疫療法

以前から皮下免疫療法という治療があり、効果もあるのですが、毎月注射をしなければならないのと、アナフィラキシーショックを起こすリスクがありました。数年前から、舌下免疫療法というのが、日本でも保険適応となりました。現在のところ、アレルゲンがダニとスギ花粉に関しては、治療が可能です。

具体的には、毎日、舌の下にアレルゲンのエキスが入った小さなタブレットを1分ほどおいておくだけで、アレルギー性鼻炎が軽快あるいは治癒する可能性があるといわれております。また、将来、気管支喘息になるリスクや新たな食物アレルギーなどが出現する確率が低下するという報告もあります。
8割くらいの方に効果があると言われておりますが、2割くらいの方には全く効果がないという報告もありますので、興味のある方は一度ご相談ください。
一般的には、小児のハウスダストやダニアレルギーはほとんどお薬が無効な場合がありますので、そんな場合には治療の選択肢として検討していきたいと思います。